皆さんはパラフィン切片(FFPE切片)を作製するのは外注ですか?
それとも自分で作製していますか?自分で作製して染色を行えば、外注に比べて早く結果が分かります。
この記事では、パラフィンブロック薄切の流れに沿ってポイントを説明します。
*この記事は滑走式ミクロトームを使用した私の経験に基づいた内容となります。
薄切のポイント8つ
1.ブロック作製においてカセット全体を包埋皿に接しさせる
2.ミクロトームフォルダーに設置する刃をフォルダーに対して平行にする
3.パラフィンブロックのパラフィン部分に目印を付けて、方向が分かるようにする
4.薄切する前にブロックを冷やす
5.粗削り刃から本番刃に変えた後は微調整でブロックを削っていき、刃が悪くなったらすらしていく
6.本番刃で組織が切れ始めたら、2〜3μmを5〜10枚の切片を捨てる(慣らし)
7.パラフィンを切る速度は一定にする
8.息を吹きかけながら切片を拾う
それでは、一つずつ解説していきます。
ブロック作製においてカセット全体を包埋皿に接しさせる
このポイントに注意することで、
複数のブロックを切る際にブロックを設置するステージの上下・左右の向きを変えることなく、スムーズに薄切を行うことができます。
注意点としては、組織をくぼみ以下にして下さい。
組織が包埋皿のくぼみ以上の大きさの場合、カセットがくぼみ以外の包埋皿と接しない部位が生じるので、うまく包埋できたブロックと交互に薄切すると都度ステージを動かして、刃とブロックを平行にする必要があります。

ミクロトームフォルダーに設置する刃をフォルダーに対して平行にする
このポイントに注意することで、
本番刃での慣らし(2〜3μmを5〜10枚の切片を捨てる)がスムーズに行えます。
注意点として、フォルダーに設置して刃の両端を同じ力でフォルダーに押し付け、刃を固定するネジを真ん中から締めます。また、粗削り刃から本番刃に変えてから、ステージをほんの少し下げてから微調整(手動送りレバー)で本番刃で切ります。ステージを少し下げてからでないと、本番刃がブロックにガッツリ刃が入る可能性があり、直ぐに刃が悪くなります。この可能性の理由として、粗削り刃と本番刃の両方がフォルダーに対して平行に入っていないことが考えられます。数μmという薄さで切っていくので少しのズレでこうなってしまいます。なので、平行に刃が入っているように見えても必ずステージを下げてから切って下さい。

パラフィンブロックのパラフィン部分に目印を付けて、方向が分かるようにする
このポイントに注意することで、
切片をスライドガラスに同じ方向に拾えることができます。これにより、連続切片でHE染色と免疫組織化学染色の同じ場所の観察がしやすくなります。

イラストのようにブロックの右上から刃が入る場合、点線の3か所のいずれかを削る等しては薄切後に向きが分かるようにします。例えば、左上を削って薄切すると、右のような切片ができます。
薄切する前にブロックを冷やす
このポイントに注意することで、
ブロックが切りやすくなります。イメージとしては、冷凍と冷蔵の肉を想像してみてください。冷凍の肉は包丁でサクッと薄く綺麗に切れますが、冷蔵の肉はブヨブヨして冷凍の肉のようには切れません。ブロックも同様です。
注意点として、あらゆる臓器のブロックを冷やすと切れる訳ではありません。細胞間の結合が弱い組織(骨髄穿刺など)は、細胞間結合が弱いため冷えていると組織がボソボソして薄切しづらいです。
粗削り刃から本番刃に変えた後は微調整でブロックを削っていき、刃が悪くなったらズラしていく
このポイントに注意することで、
本番刃が長持ちします。

このイラストの順番は例です。ご自身の好きなように順番を決めて刃を大切に切ってください。
本番刃で組織が切れ始めたら、2〜3μmを5〜10枚の切片を捨てる(慣らし)
このポイントに注意することで、
表面が滑らかになり、綺麗な標本を作製することができます。
パラフィンを切る速度はゆっくり一定にする
このポイントに注意することで、
チャタリングのない綺麗な標本を作製することができます。
息を吹きかけながら切片を拾う
このポイントに注意することで、
切片が拾い易くなります。
注意点として、息の吹きかけは「ハー」でなく「フー」です。冷えているブロックに「ハー」と息を吹きかけると、ブロックが温まり、切片が厚くなります。パラフィンブロックは冷えると体積が小さくなり、温まると体積が大きくなるからです。

イラストの★に息を吹きかけるイメージで、切片を拾い上げます。
これ以外にもポイントはありますが、まずは今回紹介したポイントを意識して薄切してみて下さい。



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