免疫組織化学染色の抗原賦活化と条件検討

実験関連


皆さんは抗原賦活化する際の溶液をどのように選択していますか。

今回は、免疫組織化学染色の条件の種類と条件検討の方法を説明します。

また、条件検討の参考になる抗原の等電点と抗原賦活化液のpHについても説明します。

この記事でわかること

・免疫組織化学とは何か

・免疫組織化学染色の条件

・免疫組織化学染色の条件検討の方法

抗原賦活化とは?

組織を固定する過程でマスキングされたエピトープ(抗原決定基)を露出させる方法です。
組織染色をおこなう際、組織を固定液(ホルマリン等)で固定する過程で、架橋反応(クロスリンク)により目的タンパクのエピトープがマスキングされます。これにより、抗体の抗原への結合が妨げられる場合があります。このようにマスキングされたエピトープを露出させる方法が抗原賦活化です。

抗原賦活化方法の種類

抗原賦活化方法には大きく分けて2種類あります。

①熱処理(Heat-Induced Epitope Retrieval ; HIER)

②タンパク質分解酵素処理(Proteolytic-Induced Epitope Retrieval; PIER)

さらに、熱処理する方法、タンパク質分解酵素処理に用いる酵素にいくつかあります。

①熱処理

・温浴

・マイクロウェーブ(電子レンジ)

・オートクレーブ 

などがあります。これらの差は熱強度の違いとなります。

熱強度は、温槽 < マイクロウェーブ < オートクレーブ

となります。

また、熱処理に用いる溶液にもいくつか種類があります。

・クエン酸バッファー(pH6.0)

・Tris/EDTAバッファー(pH9.0) 

などがあり、更に界面活性剤を入れたり入れなかったりします。

②タンパク質分解酵素処理

・プロテナーゼ K

・トリプシン

・ペプシン 

などがあります。

免疫組織化学染色の条件検討方法

先ほどの抗原賦活化液と方法だけではなく、濃度、反応温度、反応時間もサンプル状態(固定・包埋など)や使用する抗体にあった至適条件を検討する必要があります。

市販されている一次抗体の多くは、基本的に購入した一次抗体のデータシート、抗体使用している論文のMaterial&Methodに記載されています。しかし同じ企業、商品番号の抗体でも論文によって条件は様々です。

なので、いくつかの同じ条件を試して一番良い条件を決めるのが良いです。あまりにも条件が異なる多い場合、論文のFigureの染色結果を見て、細胞内局在が正しいかバックグラウンドが低いかどうかを確認すると良いです。

おこなう条件が決定したら、まずはポジティブコントロールとなる組織を用いて条件検討します。

その後、ポジティブコントロールと調べたいサンプルの免疫組織化学染色をおこないます。

また、自作した一次抗体の抗原賦活化方法を選択する場合、抗原賦活化液と一次抗体が認識する抗原の等電点を確認すると良いらしいです。

詳細は以下となります。

抗原賦活化液のpHと抗原の等電点の関係

抗体が認識する抗原の等電点を調べるのに以下のサイトがおすすめです。ExPASy – Compute pI/Mw tool
アミノ酸配列を入力すると、等電点と総分子量を計算してくれます。

酸性の等電点の抗原 ⇒ 塩基性pHの緩衝液

塩基性の等電点の抗原 ⇒ 酸性pHの緩衝液

を選択します。

最後に

このように免疫組織化学は奥が深いです。

ぜひ、条件検討でバックグラウンドが低く、目的のたんぱく質の発現を検出できる条件を見つけてください。

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